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君に、頭を撫でられるのが好き。
君に、首に腕をまわしてぎゅうっと抱きしめられるのが、好き。



秋の日に。





頭の中で、いろんな「好き」を反芻してみる。
なんというか、結局はそこなんだなぁ、と再認識してしまうだけなんだけどね。


「はるかぱぱぁ、さっきからほたるのお話聞いてる??ずぅっとぼぉ~~~っとしてて、なぁんにも入ってないみたい。」
「ああ、ごめんごめん。聞いてるよ。で、お友達のさっちゃんがそこで何を言ったの?」
「うん、でね、さっちゃんたら飼ってるうさぎのみっちゃんを・・・。」



一生懸命その日にあった楽しかったことを熱弁するほたると、その光景を微笑ましそうに眺めているせつな。
カレンダーを見る。
赤丸がついている日まで、あと三日。



「そのお話、続きは食事の時までとっておいて、さぁ手伝ってくださいほたる。今日はほたるの大好きなハンバーグですよ。」
「え、ほんと?やったぁ!!」
「はるかパパは、テーブルにお皿を並べておいてくださいね。」
「はいはい、せつなママ。」



いつものやりとりも変わりない。
ただ、キッチンにいるはずの人が一人足りない。



君と並んで歩くことが好き。
君と手と手を繋ぐことが好き。



夕食も済み、ほたるは風呂へ、せつなは自室へと向かう。
リビングには僕一人。
おもむろにソファに寝転がって、そのへんに転がっていた雑誌を開いてみる。
おそらく、せつなが買ってきたものだろう。
特集が組まれているのは、彼女の
表紙をめくり、真っ先に目に入ってきたのは彼女の
青いスポットライトに照らされて、愛器を奏でる彼女の姿。



君が愛器を手にしている姿が好き。
君が目を閉じて、愛しそうに奏でる姿が好き。



どんどんページをめくっていく。
色んな彼女の表情が、様々な角度から映し出されている。
さすがプロのカメラマン、ホンの一瞬の表情をも撮り逃さないんだな。



けれど、どんなに凄腕のカメラマンでも、
彼女の一番の表情は引き出せないこと。
彼女の一番の表情を引き出せるのは僕だけだということ。



「ぱぱぁ、お風呂でたよぉ。次はいりなさいって、せつなママが言ってた~。」
「ん、ありがとう。ほら、ちゃんと髪乾かさなきゃだめだぞ。だんだん寒くなってきたから湯冷めして風邪ひいちゃうよ。」
「はぁ~い。」



今日のはるかパパは、いつもの     と同じこと言うのね、と
ほたるにちょっと膨れられた。



君の声が好き。
君の碧が好き。
君の笑顔が好き。
君の様々な表情が好き。
君の立ち姿が好き。



君の、僕に向けられた全てのことが、好き。



僕の持ちうる全ての感情は、全て君に直結する。

meg (2011年6月 2日 00:42)

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