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『三日待つ。』

 彼女は押し黙る自分に、静かに告げた。

『それくらいは、考える時間を与えよう。……だが、どういう答えを返そうと、“否”とは言わせない。覚悟をしておけよ?』

 高圧的な言葉とは裏腹に、咲き誇る白百合の如き清廉な笑みを、その表情に湛える。呆然と立ち尽くす自分を残し、踵を返し教会から出て行った。

 本当は、すぐにでも応じたかった。白磁のごとく白く麗しいその小さな手を取り、永遠の忠誠を誓う口づけを送りたかった。

 けれど、この胸に燻ぶる靄が、この体を地に絡め取ったまま、離してくれない。あの気高く清らかな乙女の手を取るのは自分でありたい、だが、そんなことがあってはならない――……。そんな想いに捉えられ、前へ踏み出せなくなっていた。






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meg (2012年9月20日 11:52)
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